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暗黒星雲

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2011年 01月 13日

『葦舟』を読む その14

古くなりひびの入りたる墓たちが針金で縛られひと固まりに (河野裕子)

久しぶりに訪れた故郷の墓の様子だろうか。

「墓たちが針金で縛られひと固まりに」ということであるから、墓がまともに
立っている状態ではなく、いくつかの墓が一箇所に集められ針金で縛られてい
る状態、つまり捨てられている状態(場所は墓地の中なのであろうが)だとい
うことと思われる。

「針金で縛られ」がいかにも無残な感じだ。墓のお守りをする人もいなくなっ
て、見捨てられた墓なのであろう。<私>(=作者と思われるが)の祖先の墓
のように思われ、歌には情景しか述べられていないが、<私>も見捨てた者の
一員であり慙愧の念に駆られているように感じられる。

by trentonrowley | 2011-01-13 15:58 | 葦舟


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