2011年 10月 24日
寿司桶にイクラが三粒こぼれてた母とふたりの梅雨の日の昼 つまみ菜をごま和へにして炊きたてのご飯を食べた父のゐた日々 鏡台の奥にしまつた一通の手紙によつて生かされてゐる ひとり住む母の窓辺を照らす月のうさぎが我の庭先を跳ぶ 十日置きに箱のみかんを送りくる母と僕らのみかん戦争 母からの荷物受け取りその箱で娘と孫にみかんを送る 霜月の寒気の中の受話器から元気だといふ遠い母の声 胃袋に笹の葉つめた心地して雷雨の中を母に会ひにゆく 脳髄の痺れる夜に母さんは銀河に架かるブランコを漕ぐ 蝋燭のあかりの下で母さんが居眠りしてた電休日の宵 帯締めて鏡の前でぽんぽんとたたく母さん離れて見てた 熱だして寝てゐる僕に母さんのみやげはバナナきいろいバナナ 託児所に田植ゑの前の母さんが届けてくれた鰊弁当 山帽子の花咲く朝にめざめれば聞こえるはずのない波の音 母さんは虹を探して六月の野道を歩く独り言ちつつ 山越さば錦帯橋に至る道妻と歩きて見舞ひに行けり
by TrentonRowley
| 2011-10-24 21:56
| 塔
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