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暗黒星雲

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2012年 02月 29日

2012年2月

美少女が寄り集まつてぬけ参り呼び戻されて傾いてゐる
炎天の生娘ならぬ赤土は屑に埋まりしマグロのやうだ
この者に答へも聞かず追ひこめて羅生門にて会ふのはいやだ
きさらぎの膨らむ胸は小鳥らよ朝風に乗りひかりの方(かた)へ
スーパーな甘めの音で今はただ念珠を買ひに愛なのだとて
隣国のわたしの村は空白のひろい荒野に挟まれてゐた
散歩するをとめごたちを知るためにぼくの孤独はかうあるべきだ
欅ゆれ思念のさなぎとなり果ててふと目覚めると現在位置に
いでやかの作中主体、接点は別れる時に生まれたものの
唇の嵌つた鏡満ちるのは葡萄を盛つた金剛山で
小角豆つむこともなければ火にかざしお目あての本見るふりをした
落武者のご機嫌をとり癇癪を睫毛ではたく遊びに来てと
思ひ出し肉を空気を奢る者反芻してるアナログ時代
押しとどめ匂ひにひたる好きなのは驚いた顔だまされるのだ
春秋の僕らの生の水面が深くはないが身に沁みるのだ
出帆も雨戸をしめる程度です まばゆい光が現れたから
哀願し炎夏のなかを教会でカードをめくり剥がれ落ちくる
たけ過ぎて今やその時産む卵実は甘く酢く発酵してる
おおやつと近づいたのでひとつにす書店の裏で来られたと聞き
枕上枯葉みたいに鳴つてゐるアジアの風が雨戸を揺する
三日月をかんざしにしてきさらぎの寒波の宵に立つ通天閣
そよ風になつてあなたと会つた日の浜辺に寄せるさざ波を生む
すべもない僕は女の泣くことにそれに何より見てる海亀
浮いてゐる布を巻きあげそれでいい洗濯物は暗黒の海
わらはれてその内側にうかぶかと惜しむだらうか川底あるく
降りそそぎかへつてぼくはとびこんで卵を割つて急ぎ降りゆく
それはなぜ?待ちぶせてゐる秋の日の物思はしき二重の視線
漁火も裏を廻つてわなないておさない者に声をかけしに
人ならば気持ちいいからよみがへる殊にお前の迷ふ心よ
奥底へ連れて行かれて沈みをり二人揃つて信じるやうに
つかはれぬ放蕩息子毎日を眉を寄せるに隠しをりしか
一瞬の逆さ落しに目が覚めた何をしたらう憎しみもなく
昼狐真つくらがりで縮んでる神よあなたは偉いのですか
法事だと図書館を出る嘘つきのいたみにそまつたわたしを群れに
暴力を忘れぬやうにその肌は非を知りしとか影ならずとも
あをあざをひやかすもありむかしより咳をし続け忍従の穴
雨の日に世界を憎む橋を越えはかない希望受けとめるため
知つてゐる朝はまだ来ぬこの部屋はしらない夜にそつくりだから
立ち枯れた背中に触れた劇場の彼は嚥下しさうしたんです
言動のかずまへられてにじみ出す生命あるもの食べようとして
思ひ出の葦原の国冷えやすい風ははるばる骨をふきよせ
初春の波はしばしばひとりだけ批評しようと思はせぶりで
球体を表と横に実をもぎり日暮れを歩くテンション高く
野にいでて言はねばならず足取りは寄る辺なげなる子に示される
そのはうが生きてゐられる突然に烟草すぱすぱ何も言はずに
やはらかさ必要としてねころべばあたたかな泥、一夜にて出づ
強ひられた制服の肩手を振つて玩具の位置を目撃してゐる
託された縁に二つの唐がらし触れてみたくて忘れてしまつた
変態とシャワーを浴びてささやけば春一番が風に向かへと
あの日から吹いてくる風ふるさとの小豆畑に吹いていた風
初夏の兄の結婚かけ損じ総てのもののあやふげなるを
ポンカンのかはをむいたら損益の浮き出るやうにだけが条件
腰痛の巨きな黒いとんばうも胃がもたれてる高脂血症
遍歴のみんな地球に留まつて二階座敷の部屋を探さう
立つたまま腐敗してゆく森の奥どうも自分の権能を子に
敗けてから日々の記憶は青い空そしてわたしは別れを告げに
千人のわたしが死んだ漆黒の微かな眩暈わたしは大人
思(おぼ)しすてこの地平から林から行つて見たいと空のむかうへ
おわかれのわたしの盗み思はずと酸つぱい林檎食べさせるには
寒い日にごめんなさいよ詰め寄つて分かつた人に分かつたからだ
捧げ持つ溲瓶を包む四角布の白地を丸く染める液体
惑星の光を水を滝のごと与へられたが生まれないぼく
青い滝豆腐を浮かせ啜りあひあなたはたぶん死んでしまつた
赤剥けのあなたのもとに聞こえくる書き換へられた無限の重荷
目を伏せて虻の記憶の新聞もその筆力に麻痺してしまふ
耐へながらむしろ野心に貼りつける鏡に映る私が死んで
光降り重く二重にひびかせるむしろわたしは光を憎む
身じろがぬすべてのものの右側にさうなつたのも造反有理
生きてゐる理由のなさが黒々とそれともいつそ左と右に
性格のあやふやなれど牙剥いて言葉を憶えいきなり死んだ
この水は象徴的に集められさうありたいと描き足してある
石投げてつまづいたもの儀礼的きびしい規律鏡をふせる
調じけむさはれなかつた憎しみを蹴られ殴られ耳鳴りやまず
楽聖の清めのことで回し蹴り転がつてゆく大佐夫人は
ゆかしけれ四十の日暮れ隠されて浮気らしきに勉強をやめ
ベージュいやルージュをそつと美少女はだんだん暗く勉強の邪魔
喫茶店で<わたし>についてふくらませ気晴らしをする生物の群れ
柏戸のぼんとして居たジャズ喫茶逢つた老女は忘れて仕舞ひ
指導者が汚れた腕を稲株に雨が降る日はまだなかつたよ
ひま白き漂ふ花を人々の実は嫌ひで稲穂がたわむ
数知れぬこの種の何か干からびた輝く真理夕日に唱ふ
明け方の停止信号輝いてつのる思ひは飛躍しやすい
ここどこよあたりいちめんおぞましく遠慮は無沙汰婚約を破棄
空白を雨催ひの朝墜ちてくるその日わたしは振つて別れた

by trentonrowley | 2012-02-29 23:55


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