2013年 04月 30日
商品が満ちあふれても冷たくて逃げるところを探しはじめた 友愛の罠にかかつていま僕は駄目になつてくじやれ合ひながら 少女にはその快楽は善であり盗んだ果実摑んで食べる 衰へた身体を包むゆふなぎが下着のやうにはみ出してゐる 禁獄の秀才たちを救ふため国境を越え飛びゆく海月 落ちていくカボチャのたねは永遠に帰つてこない夜の夏空 何をした報いだらうかレジ横の席に煙草のけむりが澱む 天龍の邪説を捨てよ永遠の一角獣を引き連れてゆけ 乳色の回転軸に氏神の赤い卵が張りついてゐる ゐない子をこの手がいつか捕まへる駄菓子屋さんの店先で待ち 牡蠣たちは予想以上に渇いてて預言者たちも歯を立てられる 刑場に雲が西から降りてきて人も草木も包まれにけり 投げ捨てた下着を残しバスは出てとつぜん不意にトンネルの中 殺すつてはつきり言つて 光るかほきれいだなんてごまかさないで 蝿をとる男は首を傾けてふたたびきつと文字なき闇へ ともに揺れためらふ我ら兄弟の前に女が寝そべつてゐる あしたより飲まう数だけ 視認する壊れる担架まはりはじめる 桃畑に青き柿の実落ちてゐて神の不在はずつと前から ドアノブの外れるものは外したが逃げることなど得意でなくて 殺すのも産むのも神の気まぐれか腰骨かがめぬるい茶を飲む 摘むだらうこの手がきつと カメリアの赤き一輪ほころびにけり
by trentonrowley
| 2013-04-30 23:59
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