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暗黒星雲

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2015年 01月 15日

短歌での「きみ」・「あなた」・「おまへ」・「汝」の使われ方 (7)

今まで「きみ」・「あなた」が使われている歌を何首か見てきた。大まかに分類すると次の三つの型に分類できると思う。
(1)名詞型、(2)中間型(これを☆型と呼びたい)、(3)代名詞型(呼びかけ型)

前に引用した歌は次のように分類できる。
(1)名詞型
君とわがたゞ身二つのかくれざと隠れ果つべき里もなきかな/樋口一葉「恋歌九首」ちくま日本文学全集
(2)中間型(☆型)
☆たちまちに君の姿を霧とざし或る楽章をわれは思ひき/近藤芳美『早春歌』
☆きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり/永田和宏『メビウスの地平』
☆逆立ちしておまへがおれを眺めてた たつた一度きりのあの夏のこと/河野裕子『森のやうに獣のやうに』
(河野裕子のこの歌の「おまへ」を代名詞と考えたが、もう少し考えてみたい。)
(3)代名詞型(呼びかけ型)
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか/河野裕子『森のやうに獣のやうに』
モーニングコートの試着をしてくださいあなたは新婦の父親だから/伊藤京子『木母』

私はこの中で中間型(☆型)に興味があり、もう少し深く考えてみたいのだが、当面は例歌を検討して行きたい。

(続く)

by trentonrowley | 2015-01-15 22:21


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