2005年 12月 12日

奥村晃作歌集「空と自動車」

奥村晃作歌集「空と自動車」(短歌新聞社)を読みました。この本も注文して取り寄せたんだけど、なぜか届くのに他の本より時間が掛かりました。

この歌集は著者の後記によると「既刊九歌集に収録の歌、四六五八首から約一割の五〇〇首を自選」したもので、「この一冊を読めば、その変遷を含めて奥村短歌はほぼ全的に理解出来る」ものだそうです。

奥村晃作の歌は「ただごと歌」とか「認識の歌」と本人も表現し、またそのように評されていて、次の歌がいろいろなところで紹介され、代表作とされているようです。

次々に走り過ぎゆく自動車の運転する人みな前を向く
ボールペンはミツビシがよくミツビシのボールペン買ひに文具店に行く
どこまでが空かと思い 結局は 地上スレスレまで空である

想像ですが、この歌集の「空と自動車」というタイトルは、上に引用した一番目の歌と三番目の歌から名付けたのではないかと思いました。

この本を通読し、部分的に何度か読み直しましたが、どの歌もとても面白く、特に気に入ったことは俺にも意味が分かることです。意味が分かって面白いんです。例えば、以前読んだ穂村弘の歌は残念ながら俺には意味が分かりません。分からないながら面白いなあとかカッコいいなあと思う歌もありますが、意味が分からないから、なんとなく欲求不満が残るんです。穂村弘の歌のようなカッコいいものを詠みたいとは思うのですが、俺には無理のような気がします。それに比べて、奥村晃作の歌は、こういう歌なら俺にも出来るのではないかという気になります。もちろん、同じレベルの歌が出来るはずはありませんが。

奥村晃作は1936年生まれで、高校の社会科の先生をしていたそうです。学校生活を詠んだものに次のようなものがあります。

無期停学の生徒八名抱へしより頭の皮がとれさうな痛み

この歌集を読んで安心したことがあります。それは、この歌集に次のような歌があるのを読んだことです。

おとめらが意識して脚を見せるからつられてわれも見るにあらずや
ミニスカの女子高生の脚ばかり見つめるわれはフツーの男
だぶだぶのルーズソックスが引き立てる少女(おとめ)の白いミニスカの脚
なぜキミ等女子高生よスカート丈(たけ)そんなに上げて脚見せるのよ

安心したとはどういうことかというと、俺も女子高生のミニスカートの脚が気になり目がそちらに行ってしまうのですが、そういうことを言うと、いやらしいと言われるくらいならまだしも、昨今の少女殺害事件等もあって、自分が変態男なのではないか、世間からもそう見られるのではないかと心配だったのです。高校の先生だった歌人の奥村晃作がこういう歌を作っているのを読んで、自分もフツーの男なんだと安心したわけです。

最後に、この歌集を読んで好きな歌は沢山あるのですが、一番いいなと思った歌をご紹介します。

轢(ひ)かるると見えしわが影自動車の車体に窓に立ち上がりたり

新井蜜
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by trentonrowley | 2005-12-12 02:51


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