暗黒星雲

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2017年 06月 23日

「塔」六月号 真中朋久選歌欄 十首選

県境を越える時すでに予感してそれでも遠くへ逃げたかった。  三浦こうこ

三十年前から嫌いおんなのこの下着についたちいさなリボン  上澄 眠

五線譜から飛び散るように園児らは声をあげつつバスを降りくる  川田一路

諍いのあとに出でゆくエンジンの音遠ざかり洗い物干す  土肥朋子

ぶかぶかのパンプス鳴らしやってくる愛想のよきいけずの主任  永田聖子

抱きしめることなどなくてたぶん雪がやまないままの駅前だらう  西村玲美

それらしく子に答へをり胎教は桃の林を通ひしことと  広瀬明子

大小の画面ならべる電気店十人の安倍と向かいあうなり  向山文昭

ざらざらと夕星いでけりロシア語の動詞過去形ひらいてをれば  清水弘子

足首の寒かったあの三月の駅に私を迎えに行きたい  黒木孝子


(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-06-23 23:22 | 十首選 | Comments(0)
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