暗黒星雲

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2017年 06月 24日

「塔」六月号 月集 十首選

黒パンの酸ゆきを食めば故知らぬ哀しみの湧くロシアの古都に  三井 修

おのれから逃れるごとくまだ暗き河原をひとりランナーは行く  松村正直

あるときは船より高き冬涛をくぐりて帰る蟹の船あり  上田善朗

楽しい老後なんてあるのかひよどりが二羽木にとまりたり  大田千枝

少し奥に切り株ひとつあつたはず 鳥の声して深くなる森  亀谷たま江

皆ちやんと寝てこないのか昼休みに四人眠りて鼾も一人  小林信也

人のゐることのたしかさしづけさの白梅町にバスが止まりぬ  澤村斉美

やぶ椿落ちたる花の赤にじみさらって欲しき乙女なるかも  土屋千鶴

くぐり終へ見返るわれはわれなのか幾重にも赤い鳥居が赤い  久岡貴子

ガラス越し本読む人の見えながら入口どこにも見つからぬカフェ  万造寺ようこ


(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-06-24 22:37 | 十首選 | Comments(0)
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