暗黒星雲

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2017年 08月 13日

「塔」八月号 永田和宏選歌欄 十首選

本当と嘘のあいだの嘘よりの言葉を重ねてこの春も過ぐ  柴野 春


空っぽのお腹で眠る病室のカーテンの薄きピンクを眺む  黒沢 優


いちどだけ掬はれしみづ さまよへるあなたをうるほす河でよかつた  小田桐 夕


雨に濡れかがやくさくら見てをりき傘かたむけて二十歳の吾は  祐德美惠子


もし空が割れたら何処に行けばいい 輝く四月の濃き影のした  岩尾美加子


あなたもお一ついかがと白き手がマシュマロのやうな不安をつまむ  加茂直樹


泣いてばかりいても仕方ない春雲とわたがしならばどちらが軽い  北野中子


分類は私の仕事なのになぜ名前のつかない感情がある  中井スピカ


戦争がどこか遠くでおきている野ばらはきっと今年も咲くらん  久長幸次郎


鼻がかゆいと言えば君が掻いてくれる くすぐったくて可笑しい春だ 茂出木智子



(新井蜜)


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by trentonrowley | 2017-08-13 23:58 | 十首選 | Comments(0)
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