暗黒星雲

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2010年 09月 29日

2010年9月

次々と名前を換へて呼んでみるわたしを見てる雲に向かつて
腕組んで歩くわたしに嫉妬して悔し紛れに潮吹く鯨
嫌ひではないのだけれど曖昧なままであるならわたしは降りる
昼過ぎてお腹が満てば新聞の書評で読んだ本買ひに行く
べつたりと付いた指紋を拭き取つて昨夜のことは無いことにする
水差しの底に沈めた銀色の鍵で秋への扉を開けて
こんなにも烈しいひとと思はずに一緒に生きて行くこと決めた
冷蔵庫の扉がうつすら開いてゐて漏れ出してくるパプリカのゆめ
イコールになるはずのない算式を意識の底に積み上げておく
沈みゆく夕日に尻尾をつかまれて必死に逃げる飛行機雲は
病院の待合室で涙ぐむ わたし勝手がわからないから
スーパーのレジに並んで待つ列が身体検査の列につながる
疑ひを持たれるはずはないけれど無邪気な顔で玄関に立つ
特大の箒のやうに欅ゆれ風を起こせば稲穂がたわむ
坂道で餌をやつてたおばさんを探して茶トラの猫が鳴いてる
昼前の英國屋では「いつまでも甘えてちやだめ」「さうさうさうさう」
鉄塔は静かに立つてバスで行くぼくを見下ろす青空を背に
それとつてあれとつてなどいふけれどそれつてなんだあれつてアレか
雷の音に気づいて短歌誌を急いで戻し図書館を出る
むらさきの木槿が好きなひとだつた福建省で育つたといふ
イコールになるはずのない算式を意識の底に積み上げておく
恋人の名前を今日は換へてみて写真に向かひ呼びかけ笑ふ
ぼくたちのゆくての空を黒く塗れまばゆい光吸い込むために
水差しの底に沈めた銀色の鍵で秋への扉を開けて
春はまうめぐつてこないただ暑い夏のある日の出来事だつた
公園の周囲のベンチに点々と電話する人パン食べる人
ぼくたちの正義を求め暗闇を東に向かふ汽車に乗り込む
決められず一月が過ぎ虫の音のなかで荷物の整理始める
南北に走る電車に詰め込まれねぐらに帰る羊たちの群れ
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by trentonrowley | 2010-09-29 21:46
2010年 09月 25日

府県境

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左側の草を刈ってあるほうが奈良県奈良市 右側の草が伸びてるほうが京都府木津川市
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by trentonrowley | 2010-09-25 20:39
2010年 09月 24日

鈴を産むひばり

光森裕樹歌集『鈴を産むひばり』(港の人)を読んだ。作者は
第五十四回角川短歌賞を受賞されている。
印をつけた歌は次の通り。

柱時計どの柱にもある部屋に陽はおちて踏む母のブローチ
目薬をさす手をとめるいま夢の醒め際にゐることに気付いて
ひとり分軽くなりたる星が呼ぶ彼の流星のひやくねんのあを
かなかなのすがた見えざる夕暮れを樹の鳴く声として聴いてをり
いつの日のいづれの群れにも常にゐし一羽の鳩よ あなた、でしたか
ずぶぬれのコートを羽織るもし人に翼のあらばかく重たからむ
人のみなうつむく冬の図書館にたつたひとりを探してゐたり
明日はどの街にてめぐる移動式回転木馬のくしざしの馬
ひだりうでに鎖をなして連なれる歯形を熱き陽にさらしをり
静電気おそれてわれが開かざる万の扉のノブのぎんいろ
致死量に達する予感みちてなほ吸いこむほどにあまきはるかぜ

全体として、この作者の文語と警句的な内容とが合って
いないように感じた。
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by trentonrowley | 2010-09-24 08:09
2010年 09月 21日

失われた時を求めて 1

プルースト『失われた時を求めて 1』(光文社古典新訳文庫)を
読み始めた。

私はこの本を全く誤解していた。時間の問題を扱った哲学の本
だと思っていたが、小説なのであった。主題としては時間の問題
なのだろうが、そんなことを考えずに読める本だ。一つの文章が
長いものもあるが、翻訳がうまいせいか、読みづらいとは感じな
い。どんどん読み進められるが、大作らしいから全冊読みとおす
には時間がかかるだろう。まだ一冊目が出たばかりのようだが。
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by trentonrowley | 2010-09-21 22:55
2010年 09月 18日

大空の亀

青木朋子歌集『大空の亀』(青磁社)を読みました。
印をつけたのは次の歌です。

いち早く風に動ける丈高き一群れのありこの草むらに
妻と毒似たりと誰が言ひしかな続柄の欄書き損じたり
石ころを蹴ることさへもためらひぬ誰も吾など見てはをらぬに
北米のインディアナから来しゆゑにインドりんごと呼ばるる経緯
空を飛ぶ夢など見しか自転車は都会の川に朽ち始めたり
われ帰る道と異なる道ありて林の向かう夕焼けてをり
春雨に花の色濃し「さびしいね一人になるね」と義姉は言ひしと

作者とは大阪歌会でお会いしますが、歌集全体として
温厚なお人柄がよく出ているように思いました。
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by trentonrowley | 2010-09-18 21:57
2010年 09月 18日

大丈夫ですか?

最近気がついたのですが、「大丈夫ですか?」とい
う言葉の新しい使い方が一般的になりつつあるよう
に思います。

一つの例で言いますと、スーパーのレジでお金を
払った後に「駐車券は大丈夫ですか?」とよく聞か
れます。買い物をすれば何時間か駐車料金が無料
になる処理をレジでしてくれるわけですが、「その
処理をしなくてもいいですか?」という意味でこう言っ
いるんですね。

もう一つの用例は、飛行機で食事の後に
コーヒーを注いでくれた客室乗務員に、
「お砂糖とクリームは大丈夫ですか?」と聞かれ
ました。彼女はほかの客には時々は、
「お砂糖とクリームはよろしいですか?」とも聞い
ていました。
後者の言い方はよく使われると思いますが、
「大丈夫ですか?」を「必要ありませんか?」と
いうような意味で使うことは以前はなかったこと
のように思います。

身近な人に聞いてみると、さほど違和感を感じ
ないと言っていますので、かなり一般的になり
つつある言い方なのかとも思います。
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by trentonrowley | 2010-09-18 14:29
2010年 09月 17日

塔2010年9月号掲載 <黒住嘉輝選>

じやんけんに負けてばかりの僕だからあなたは去つてゆくのであらう
気がつかぬふりをしてきた生ぬるい風のまにまにさまよへる声
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by trentonrowley | 2010-09-17 20:56 |
2010年 09月 12日

重力

真中朋久さんの歌集『重力』(青磁社)を読んだ。

印をつけた歌は次の通り。

犀の角のやうな歩みと言ひながら草のなかふかく踏み込みすぎた
うちそよぐすすきのなかにさきをゆけばこのたびもやはり泣かれてしまふ
ふりかへり見ればうしろを歩むひとは目を伏せてをり凍りたる道に
くろき傘をひろげて夜を歩むとき明日とはすでに昨日のごとし
ためらひしのち小走りに来るひとの風邪ひいてゐる息あらきかな
飴ゴムでたばねた髪が傾いてなにか思ふらしきしばし手がとまる
ふとく編んだ髪を羞しみて言ひながらエレベーターをさきに降りてゆく
髪を編むゆびうしろでのひとの手の風のなかなる草の蔓のさき
あきらめぬとわれの目をまつすぐに見て言ふひとよわれは怯まぬ
昨夜また泣きあかしたといふひとよ朝のひかりのなかにのぼり来て
はたたがみひらめくたびに耳を蔽ひちさきけもののごとき背中よ
きみの髪にひとすぢ白きものありてひとごとながらわれはうろたへる

私がe歌会に参加していた間に真中さんがe歌会に出された歌とは
かなり趣の違う歌を読むことができた。
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by trentonrowley | 2010-09-12 19:55
2010年 09月 09日

完走報告 (新井蜜)

完走しました。
今年はゆっくりしたペースで楽しめました。
ありがとうございました。
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by trentonrowley | 2010-09-09 22:05 | 題詠blog2010
2010年 09月 09日

100:福 (新井蜜)

むらさきの木槿が好きなひとだつた福建省で育つたといふ
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by trentonrowley | 2010-09-09 22:02 | 題詠blog2010