暗黒星雲

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2011年 10月 31日

2011年10月

屋上にほのかなかをり歌を買ふ笑顔を見せぬ少女を狩りに
血のやうな娘が俺をいきもののはずであるのにはみだしたまま
ハミングしいつも読んでるなつかしく恐怖と飢餓の首都を見下ろす
狐さへ上つていつた新緑の私の旅宿しずかに蝿も
ひとしずくゆらめくもつれ反応はストレスなのか切つて下さい
幼子が一人は森へえんえんとその身を潜め死があちこちに
わる口もテキーラ飲めば大空に酔つてしまつて沈下海岸
消え失せた否定の否定うなづかせきみの姿勢にのどが渇いて
スイッチを少しは楽に菜の花は溶けだしていくもつともすぎて
花ぐもり朝のあなたはきのこ雲事実について電話する人
大名の背中だけれど犬鷲は未来や過去が身をくねらせる
これがためサフラン摘みと目の前の不機嫌な髪ひらいたままに
書き継いでぼくがかなしいいましめのゆすいだ水をいつでもあげる
俳諧師逃げ込んだのを女房が各別なので身をなげかけて
二階建てフォークを配る夏の夜に二間だつたが少女と二人
したこともまた浮かびくる勝負だと小さな靴はしまつたものを
いふのみに喉が乾いて汗ばんで勢い込んで虚空へと透け
富士山が世界を映す熱帯夜白くさらしたシャツがとつても
しましまの畳のへりを苦戦する構へのなかに忘れて行つた
つながつてだんだん僕はなにかしたひろいあつめた袴ばかりで
警察も標的探し点滅がなくなつたとき雨が窓うつ
深海でがまんしきれず埋められることもあつたよ我々の死は
駆けていく音に紛れて星々の雫のやうな雨が降つてる
薔薇窓の暗い部屋にて母であるきみに会ひたいもつともそんな
わたしたちさまよふ兵士昼過ぎて死んだ妹羽音とともに
沈黙し腐つた水の太き鯉水平にねて受け入れ難い
いかなれば考へられる過ぎしころ朝日をあびて語つた人は
自らの硬貨のやうに着ることのおれのちひさなくりかへす日々
かの法師捕まへに行くむら雨の先導してゐる動物園前
幼子が流されていく薄緑バッタとならむ歌つた後に
いとふまで欲を量らむ羽ばたいて後ろ姿を夜風の街に
雨あとの秋の日は照りさへづりを止めぬ鳥たち沈む心に
叔母さんが送つてくれるふるさとの草冠の葱、苺、葡萄
甥や姪からも姉ちやんと呼ばれてた伯母は長姉で働き者で
伯父と父が並んで太鼓を打つたあの祭囃子をもいちど聞きたい
鳥たちを振り払ひつつ閉ぢこもる透明なもの決意せし朝
春雨に言つてみるのさ先々のどの文章も軽んぜられて
三転し僕の時間を確かめたそのかひもなく危機に見舞はれ
笑はないおまへの愛に寝られずに冬はふたつの沈む横顔
ため息をついてるだけさ秋晴れの朝の宇治川渡る電車で
玉葱を剥かうとしたら手が滑り転がつてゆく穴に向かつて
壁を見よ透き通る壁秋の日のきみと僕とを隔つ青空

椎の木のそのにぎはひに釜の火のそろつて戻る声に目覚める
横たはる断崖の上吹き出せば胸にはおなじうづまき模様
手続きが目立たぬやうに空港で小さなユリも光を放つ
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by trentonrowley | 2011-10-31 22:14
2011年 10月 31日

手続きが目立たぬやうに空港で小さなユリも光を放つ


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by trentonrowley | 2011-10-31 16:32
2011年 10月 31日

横たはる断崖の上吹き出せば胸にはおなじうづまき模様


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by trentonrowley | 2011-10-31 14:48
2011年 10月 31日

椎の木のそのにぎはひに釜の火のそろつて戻る声に目覚める


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by trentonrowley | 2011-10-31 10:37
2011年 10月 28日

青空の向かうの壁を見よ君と僕とを隔つ透明な壁


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by trentonrowley | 2011-10-28 07:27
2011年 10月 28日

玉葱を剥かうとしたら手が滑り転がつてゆく穴に向かつて


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by trentonrowley | 2011-10-28 07:09
2011年 10月 27日

ため息をついてるだけさ宇治川を越える電車で秋晴れの朝に


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by trentonrowley | 2011-10-27 08:17
2011年 10月 26日

笑はないおまへの愛に寝られずに冬はふたつの沈む横顔


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by trentonrowley | 2011-10-26 17:40
2011年 10月 26日

三転し僕の時間を確かめたそのかひもなく危機に見舞はれ


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by trentonrowley | 2011-10-26 09:24
2011年 10月 24日

みかん戦争(塔2011年10月号特別作品)<山下洋選>

寿司桶にイクラが三粒こぼれてた母とふたりの梅雨の日の昼
つまみ菜をごま和へにして炊きたてのご飯を食べた父のゐた日々
鏡台の奥にしまつた一通の手紙によつて生かされてゐる
ひとり住む母の窓辺を照らす月のうさぎが我の庭先を跳ぶ
十日置きに箱のみかんを送りくる母と僕らのみかん戦争
母からの荷物受け取りその箱で娘と孫にみかんを送る
霜月の寒気の中の受話器から元気だといふ遠い母の声
胃袋に笹の葉つめた心地して雷雨の中を母に会ひにゆく
脳髄の痺れる夜に母さんは銀河に架かるブランコを漕ぐ
蝋燭のあかりの下で母さんが居眠りしてた電休日の宵
帯締めて鏡の前でぽんぽんとたたく母さん離れて見てた
熱だして寝てゐる僕に母さんのみやげはバナナきいろいバナナ
託児所に田植ゑの前の母さんが届けてくれた鰊弁当
山帽子の花咲く朝にめざめれば聞こえるはずのない波の音
母さんは虹を探して六月の野道を歩く独り言ちつつ
山越さば錦帯橋に至る道妻と歩きて見舞ひに行けり
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by TrentonRowley | 2011-10-24 21:56 |