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2011年 12月 31日

2011年12月

若鹿のバスを待つ列子狐は帽子を手にしいよいよ笑ふ
あひことば思ひ違へはあるでせう昆虫の道電車は走る
泣いてゐるまひまひつぶろ狩るしごと梅雨の晴れ間もつぎつぎに焚く
とまりかね綿雪に乗りかかづらふわが運命は海猫のやう
出女のその手を取つて嘗めてみる丈の短いかごのふちから
我はまだ人間なのだ夕空を足踏みしつつ生きてゆけない
真夜中に鳴く熊蝉が年前の伝法肌の後を追ひゆく
真つ黒い我が身の上に疑ひをそんならそれでおしまひだから
われ鍋の怒りの如くあの時に悪戦苦闘もうだめなんだ
足もとの時計を見ると鵲の逢ひに来るころ明るいんだよ
冬晴れの朝のふじ川渡るときワゴン押しつつ微笑む乙女
指先で星型の塩換へてみたをんなの胸はたしかに閉めて
コンビニで戸籍謄本交付するといふニュースをテロップに読む
後ろから幕ノ内弁当の匂ひするのぞみに乗りて無人の我が家へ
ぢいちやんと呼ばれる我とまあちやんと呼ばれる妻の違ひを述べよ
幾たびか目覚むる夜には享年に近づける父の一生(よ)を想ふ
小型機は三十六人乗りにして小暗き町を目指し飛びゆく
えもの待つ手摺れの時禱書太陽と文字のプランでもめてゐるのか
ユニクロの前のベンチできみを待つ男が放射するガンマー線
薄青の色に染まつてなにもかも驚いて居たきみのひかがみ
えっ?だから今のところはそやからと言ひつつきみは雪を手に受く
われは鳶になりたくて前庭のブルーベリーの実を盗るひよどり
自転車で通勤の父雨の日はゴムのカッパに身を固めたり
黒き膝わが眼のまへに揃へられ防具のごときバッグが覆ふ
黒いものが落ちてきたのは私が北へ飛び立つ日の朝でした
妹は兄の後ろで震へてた黒い背中に隠れるやうに
人々の流す涙は雪の日の道路に黒いしみを作つた
僕はただ黒いカラスになりたくて二本の脚で毎朝あるく
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by trentonrowley | 2011-12-31 22:20
2011年 12月 29日

僕はただ黒いカラスになりたくて二本の脚で毎朝あるく


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by trentonrowley | 2011-12-29 23:32
2011年 12月 29日

人々の流す涙は雪の日の道路に黒いしみを作つた


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by trentonrowley | 2011-12-29 23:18
2011年 12月 29日

妹は兄の後ろで震へてた黒い背中に隠れるやうに


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by trentonrowley | 2011-12-29 23:13
2011年 12月 29日

黒いものが落ちてきたのは私が北へ飛び立つ日の朝でした


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by trentonrowley | 2011-12-29 20:28
2011年 12月 28日

黒き膝わが眼のまへに揃へられ防具のごときバッグが覆ふ


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by trentonrowley | 2011-12-28 23:33
2011年 12月 28日

黒き膝わが眼のまえに揃へられその上にはやバッグの置かるる


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by trentonrowley | 2011-12-28 17:43
2011年 12月 28日

自転車で通勤の父雨の日はゴムのカッパに身を固めたり


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by trentonrowley | 2011-12-28 14:25
2011年 12月 28日

俺の・好きな・塔の歌 2011年12月号 その3

立ちしまま枯れてゆくハスこの先もわれに弟とふ血縁のなし (但馬葉子)
びつしりと予定詰まりし手帳持つ妹は寡婦トラ年生まれ (但馬葉子)
自(し)が父の顔を知らずて妻となり君はもわれを「父さん」と呼ぶ (原田尚志)
折折にしやうもないこと訊ねくる息子の電話は仕事前らし (三浦智江子)
もう疾うに狂っているかも知れないね平常心のあなたがいない (岡本純代)
窓ひらき朝あけの空へ胸のなかの小さき鳥を放ちてやりぬ (杉本潤子)
十往復せしあたりよりウォーキングハイになりゆくわがリハビリは (須磨岡繁)
伯父はその妻の名前を間違へて「マリ子帰ろ」と母の名呼びつ (中瀬真典)
アーモンド色の少女とすれちがふ夏のをはりの光やはらかし (古賀公子)
降伏を促すビラがジャングルの空を舞ひ舞ふ目つむるに見ゆ (仙田篤子)
有耶無耶にしておく方がよからむと帰り来たれば桃のにほへり (石原あきこ)
声のないムンクの叫びの絵のように夫も叫びを持ちて臥しいむ (小童谷庶子)
子の怪我を知らされし夜も音高く蝙蝠の飛ぶ夢の荒野に (南條暁美)
目に見えぬ何かに母を預けたり西陽さし初む部屋を去るとき (久次米俊子)
受けとめることができなくなっていきティッシュの箱を差し出すばかり (小林貴文)
朝夕は風の涼しくなりしなど言ひてその後言葉をさがす (大島りえ子)
にがうりの蔓は網戸にたどりつき膝の工合はいかがとのぞく (福政ますみ)
生あくび生首クビをぶら下げて家路はつるんつるんと歩こう (深尾和彦)
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by trentonrowley | 2011-12-28 13:23
2011年 12月 26日

われは鳶になりたくて前庭のブルーベリーを食べるひよどり


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by trentonrowley | 2011-12-26 20:33