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2012年 09月 30日

2012年9月

青空に屹立せむと真黒なる東寺の塔は起き上がりけむ
アベリアの香りの海をすれ違ひざまにかき乱しゆけり少女は
今更に引き返すなどできないと東大路を北へと歩く
鬣を靡かせてにいちやんが押す台車の前を飛ぶ秋茜
新横浜で降りる女は黒光りするスーツケースを押して行きたり
「さやかちやん!」と起こす声聞き目が覚める 隣りの長女は中三らしい
前兆は明白だつた水飴のやうな空気が下りて来てゐた
「関係を知りたかつた」まで読んで左右の会話に意識奪はる
鳥の目は監査の基本 向かひゆく度量と数と乗せて電車は
くるくると回す日傘が羨望と誹謗の針を撥ね返す、ほら
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by trentonrowley | 2012-09-30 23:05
2012年 09月 29日

くるくると回す日傘が羨望と誹謗の針を撥ね返す、ほら

くるくると回す日傘が羨望と誹謗の針を撥ね返す、ほら
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by trentonrowley | 2012-09-29 23:20
2012年 09月 08日

赤き喉

赤き喉

旅の空は青い
渦巻はぐるぐると
水槽に回っている
初めからの経緯を
窓に見ていたら
整然と歩いて行く一団が見えた
いつまでかかるのだらう
こちらを見ているような気がしたので
盗み以外の可能性はないと踏んで
寺の境内に向かった
可能なかぎり小さい銃を
もつてゐたから陽にかざすと
融けてしまった
大逆事件当時の
海鳴りめいてさやぐ木々の音が
感情をかき乱す

体液や毛髪をふりまき
砂を蹴り
町にきて歌う
赤き喉の燕
もとより李杜が
人に食傷した
軽さのなかで
涙をこぼすのは
愛といふものを知らなかったからだ
さまよひあるきながら
時に気狂ひした人々の
子孫だといふ
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by trentonrowley | 2012-09-08 18:43
2012年 09月 05日

タケノコ

タケノコ

神経を刺激する音が
絶え間なく
聞こえてくる
ぼく自身快適な男ではなく
痕跡を消したいと
常に思っているのであるが
軽さには軽さで向かう
しかなく
もしこの事が意に染まない
のであれば
ズボンの裾に絡んでくる
春風を
たとへそのため永遠に
別れることになろうとも
蹴飛ばすしかないのだ

人間だから
何か食べずにはいられない
吊るされていた豚肉を
与えてくれるだろうか
ただ黙って
見ている
だけの気もする

タケノコが
出始めた頃
ぼくは
裏山に登ってみた
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by trentonrowley | 2012-09-05 11:15
2012年 09月 05日


買ってきた水を飲みながら
まだ暗くなるまでには間のある
初夏の夕暮れを
あなたの家に
辿りついた

出版を考えたのは一年前のことだった
輪転機の回転を
頭に描き
制服に身を包んで
この部屋にうずくまっている君の
病がかるくあることを願った

短時間なら一緒に飲もう
左に折れて真っ直ぐ行くと
三尺ばかり階段を降りたところの
店の硝子に映るポスターが
「おまかせします」と言っている

世界の終りに近づいた時
愛さなかったことを悔やんでも
仕方がない
朝の
風が吹き抜ける通路で
諦めようと
私は鞄を抱き締める
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by trentonrowley | 2012-09-05 11:14
2012年 09月 04日

地廻り


人々を眺めていると
空腹を訴える人がいて
給はらむ米を待ち望みながら
一条の雲が消えるのを見ているのです
白あへの蒟蒻を食べながら
唾をまきちらしたことを思い出した
腹が満ちてゐるので
けふは地廻りをするのにも
歌集を右手に持つて
ひどく退屈を感じるものだったけれど
それしか持ってゐなかつたので
古いちいさい鞄を
あなたの代わりと思って抱きしめた
来られることは無いでしょうが
船には孔が開いているので気を付けて下さい
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by trentonrowley | 2012-09-04 18:11