暗黒星雲

trenton.exblog.jp
ブログトップ

<   2017年 08月 ( 30 )   > この月の画像一覧


2017年 08月 20日

「塔」八月号 月集 十首選

鳥たちはどこにひそみているならむ空を割りつつ雷(らい)が近づく  吉川宏志

吹き荒るる風のあしたを花韮のうすむらさきになりてなびかふ  花山多佳子

手も足も汚れて死にし者たちに有明スミレは白を点せり  栗木京子

何気なく町に買いたる花束になずなの緑混じりていたり  前田康子

ミサイルの避け方を説く教室の窓より空の澄みわたりゆく  梶原さい子

むさぼりて本を読むゆめ合歓の葉はわたしの夢を閉ぢてひらかず  苅谷君代

亡き父の長き思案の置きどころ碁盤は長女のわたしがもらふ  酒井久美子

かたかごの花咲く寺井に汲みまどう少女五人が絵の中におり  進藤多紀

ぶらんこを少し遠くへ飛び下りて襞スカートの少女期終はる  干田智子

家を出でし母に出遭ひてバス停に十歳の夫声をのみしと  村田弘子


(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-20 23:28 | 十首選 | Comments(0)
2017年 08月 20日

朝顔と盗作、ちがふそこのとこもつと青いよさうさう青い

d0021306_19182270.jpg

朝顔と盗作、ちがふそこのとこもつと青いよさうさう青い




(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-20 19:18 | Comments(0)
2017年 08月 20日

「塔」八月号 栗木京子選歌欄 十首選

さつきまで赤子のほほの触れてゐしブラウス匂へりのぞみの席に  広瀬明子

佳きことのありたる時は蕎麦を打ちうからと啜りし藁葺きの家  石飛誠一

部屋隅に溜まる夕闇この世にはつながらぬ電話残りておりぬ  菊沢宏美

初恋の少年が川で死にしこと語れるひとも少女でありき  小林真代

あの日からときをり耳にピツピツと何かが棲みつき何かを知らす  山地あい子

造りゐし部品番号忘れ難く今もキヤツシユのカードに使ふ  関山正雄

下り線ホームに立てば春潮のかすかににほふ夕べとなりつ  立川目陽子

グランドピアノはすぐに買ひ手がついたのと言ひつつしまし声を詰まらす  東郷悦子

眠られぬホテルの窓に椅子寄せて会津の空に月を見ている  山口絹子

洗濯機には何が混じつてゐるのやら祭囃子の如き音する  大島りえ子


(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-20 15:54 | 十首選 | Comments(0)
2017年 08月 20日

「塔」八月号 真中朋久選歌欄 十首選

南方より帰りし若き伯父の手はあたたかかりし下駄などはきて  渡辺のぞみ

軒下に蚊柱みしは遠き日の父母のいた夏の夕暮れ  数又みはる

銘仙の着物をほどき縫ひたるは母の為事と伊予の人言ふ  久次米俊子

家内も軒も白じろ灯しつつ影絵のやうにひとり越しゆく  清田順子

サイテーと言いし女の抑揚の春の夕べに思い出ずるも  関野裕之

いざ行かむ。口紅あかくぬり終へて鏡に向かひ笑顔をつくる  田口朝子

オオデマリコデマリゆるる晩春(はる)の夕ふたりであるくことは望まず  田中律子

コピーした紙のぬくもり受けとりぬ花冷え続く朝の廊下に  永田聖子

鮮やかなヒジャブを巻きてゆっくりと朱塗りの門をくぐる人あり  宮地しもん

階段を二段とばしで駆け下りるチヨコレイトで勝ったみたいに  芦田美香


(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-20 11:53 | 十首選 | Comments(0)
2017年 08月 19日

白百合と逃走、きみの首凝りの奥の方から聞こえるサンバ

d0021306_22552294.jpg

白百合と逃走、きみの首凝りの奥の方から聞こえるサンバ




(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-19 22:55 | Comments(0)
2017年 08月 19日

草は実を落として庭をうめつくす小さな夏のそのにぎはひに

d0021306_2046717.jpg

草は実を落として庭をうめつくす小さな夏のそのにぎはひに




(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-19 20:46 | Comments(0)
2017年 08月 19日

「塔」八月号 若葉集 永田淳選歌欄 十首選

「塔」八月号 若葉集 永田淳選歌欄 十首選

ふたひらの羽があるから蝶々は自由なのだと思い込んでた  八木佐織

射程距離6000キロのなかにゐてまだ初恋を知らぬ野良猫  宮本背水

「ミサイルからの避難方法」のわら半紙 保健だよりの隣に貼られ  井手明日佳

まちがえた記憶そのまま鳴っているピアノの譜面が頭の中で  希屋の浦

香ぐわしき四月の風に誘(いざな)われガン細胞に花を見せにゆく  里乃ゆめ

幽界の使ひのごとくほのあをき翅をひらげておほみづあを消ゆ  高橋道子

いくたびも予測外れて温める君のシチューは濃さを増しゆく  髙山葉月

いつ帰るんやって電話で言われてまだそっちに住んでいる我  山口 蓮

中指の変形せしを変形のままに包めりやわらかき水  佐々木美由喜

電線のカラスと吾の目が合ってひとりなのかと一声鳴かれ  真間梅子



(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-19 16:46 | 十首選 | Comments(0)
2017年 08月 18日

暗闇をえらんで歩く目の眩む白い光に追ひかけられて

d0021306_22123912.jpg

暗闇をえらんで歩く目の眩む白い光に追ひかけられて




(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-18 22:12 | Comments(0)
2017年 08月 18日

「塔」八月号 江戸雪選歌欄 十首選

「塔」八月号 江戸雪選歌欄 十首選

ふと力抜きたるように風はやみ雨のかたちのままに柳は  黒木浩子

遠くを見る目をして遠くを見てゐない少女の膝に赤いしたじき  川井典子

銀杏の芽犬と幼児とタンポポとツバメの巣を見て散歩を終える  さつきいつか

サークルの一つ一つを見てまわりナガミヒナゲシ抜きて帰れり  鈴木四季

卓上の口紅ひかりが満ちている わが唇を彩るために  沼波明美

のろのろといやゆっくりと歩くのだこの悔しさを忘れないため  増田美恵子

わたくしは静かに静かに爪を研ぐ権力者になど知られぬように  山梨寿子

朝風に連なりてゆく自転車の少年の声木津川わたる  加藤 紀

草花を育てる母に着せたきとかなりあ色のブラウスを選る  菊井直子

ミサイルの発射のニュース聞き終へて洗ひし毛布春空に干す  堺 礼子


(新井蜜)
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-18 22:05 | 十首選 | Comments(0)
2017年 08月 18日

持つていくものなどはない 赤土は剥き出しとなり雨に流れる

d0021306_63394.jpg


持つていくものなどはない 赤土は剥き出しとなり雨に流れる
[PR]

by trentonrowley | 2017-08-18 06:03 | Comments(0)