暗黒星雲

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2017年 11月 30日

この山ではないだろうか?

建物に隠れて見にくいですが京大病院(京都市左京区聖護院川原町)の前から見えたこの山ではないだろうか?

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by TrentonRowley | 2017-11-30 17:05 | Comments(0)
2017年 11月 28日

「塔」十一月号 月集 十首選

「塔」十一月号 月集 十首選

盈つるとふさびしさのなか昇り来し月まどかなり海の上の月  永田和宏

軽きかろき銀貨のあまた集ふごとマロニエの葉は雨に震へぬ  栗木京子

今年また妻と来たりぬ山の湯に河鹿の笛を聴きてゐるなり  上田善朗

「いえあれは山ぼふし」と正されてよりきはやかに見ゆるその白  岡部 史

そのむかし湖底にありし村の上(へ)にわれら浮かびぬ夏の盛りを  梶原さい子

こんがりと祖母の焼きしを食はされき父が野良にて捕りしマムシを  後藤悦良

白き紙舞い散らばうごと羽根かさね古墳をおおうひと群れの鳥  酒井万奈

気づかれぬように閉じいるまなぶたの茗荷の花よ触れにゆきたし  なみの亜子

抱へられ前を過ぎゆく骨壺にこゑかけむとしこゑを呑みこむ  藤原勇次

月明かりの庭に出でゆけ青金蚉あまからむ今宵の草の葉の露は  村上和子


(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-11-28 20:22 | 十首選 | Comments(0)
2017年 11月 27日

「塔」十一月号 真中朋久選歌欄 十首選

「塔」十一月号 真中朋久選歌欄 十首選

陽炎のなかに平和案内人いて半ズボンの子に囲まれており  北辻千展

帽子のように遠いひとだとおもうとき脱いではならぬ帽子だ、これは  白水ま衣

にせものの私になって仕事する最近多いよにせものの時間  乙部真実

長雨のゆふ暗がりに一度だけ電話のベルが鳴りて途切れぬ  久次米俊子

とりあへず西瓜を冷やし待ちてをり日盛りのなかたづねくるるを  澄田広枝

ほんの少し寂しい午後に遠き世の見知らぬ人に出会ってしまう  中出佐和子

車椅子が浮き上がるほどの声あげて北北西に叫び始める  浜崎純江

富山湾に海市となりて揺らぎいる我かも 熱波のビル街をゆく  三浦こうこ

あいちゃんもこどもだからと信じいるふたりはわたしを誘ってくれる  永田 愛

かく赤くダリアの花は咲きいしかアステカの王縊られし朝  関野裕之


(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-11-27 22:41 | 十首選 | Comments(0)
2017年 11月 26日

「塔」十一月号 永田和宏選歌欄 十首選

「塔」十一月号 永田和宏選歌欄 十首選

両腕をあげて病む子は眠りをり赤子のときの姿勢のままに  野島光世

まぶしさの消えて熟柿のごとき陽がずぶずぶと海へ沈んでゆけり  石井夢津子

はじめからひらかれていたまずきみが見つけてぼくが入っていった  荻原 伸

れんこんの穴のぞくようなさみしさで出かける家族を見送っている  片山楓子

水滴が街を逆さに映しをりそのつめたきにふたり暮せり  久保茂樹

思ひ出はぼんやりがいい スイッチバックの駅の別れにゆれてゐたコスモス  坂 楓

このひとにも家族がゐるとふ現実を井戸のそこひに沈めてしまへ  西村玲美

滑り止めに刻まれし溝踏みながら坂をのぼれり 鈴を鳴らしに  山口泰子

バスの外アンダルシアのひまわりは黒焦げとなり地平線まで  渡辺美穂子

イメージにほど遠き身を映しつつ「ロコモーション」の振りを確かむ  青木朋子



(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-11-26 15:52 | 十首選 | Comments(0)
2017年 11月 24日

「塔」十一月号 若葉集 山下洋選歌欄 十首選

「塔」十一月号 若葉集 山下洋選歌欄 十首選

枕辺に羽をたためぬ小さき鶴また須磨浦の月が見たいね  三木紀幸

あれが夏だったスカートのうしろを跳ねて座ればあかい腿裏  白水裕子

夕つ方洗濯物を取り込むに隣家の青年目をそらしたり  鎌田一郎

昨日よりきみの背中が灼けていて唇もたぶん熱いな、と思う  頬  骨

ベランダにラベンダのプランタならべたベッラ・ドンナの夫のベントレ  渋谷めぐみ

「ほっといてこれでも都会の真ん中で生き抜いてるの」と猫が鳴くから  中森 舞

どうやって忘れたらいいサイダーと団扇を持つ手の爪の形を  平野 杏

画用紙に見知らぬ都市を描きにけり その片隅に僕は寝てをり  宮本背水

森山町中堀鉄砲火薬店用なきゆゑにいまだ入れず  山下好美

あの人も気づいただろう 肉売り場の前でカートをくるりとかえした  佐々木美由喜

(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-11-24 21:30 | 十首選 | Comments(0)
2017年 11月 23日

「塔」十一月号 三井修選歌欄 十首選

「塔」十一月号 三井修選歌欄 十首選

ベランダの先の闇へと振り捨てし蛾がひらひらと昇りてゆけり  髙野 岬

できない事はできないのだと思ひ直し夕の厨にチキンカツ揚ぐ  相澤豊子

人形はドールハウスに火を放つアンタナンカノスキニサセナイ  王生令子

ホチキスの針は切れたり日常がふいに失せたるあの夜のごと  垣野俊一郎

否定するつもりじゃなくて嫌なことを嫌だと言った それだけのこと  木島良子

せいぎってなんなんやろね伊万里からはみ出す秋刀魚は左を向きぬ  田村龍平

へび座の横にへびつかひ座もあり夏の夜は電気を消してそらを見ませう  松原あけみ

湖水地方旅する日もまたいつか来む今は子をまず風呂に入れよう  矢澤麻子

このひとも嵐のあとの海岸に打ち上げられたかたちで眠る  𠮷田恭大

名もしらぬおばさんであるわたくしをこの子は時に友だちとする  高原さやか



(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-11-23 22:17 | 十首選 | Comments(0)
2017年 11月 22日

ゆく と くる  (その2)

ゆく と くる  (その2)

ゆく

  また一つ鍵をかへしてこの国に浅く下ろした根を抜いてゆく/加茂直樹
(「塔」2017年11月号)

この歌の場合は、「抜いてゆく」の主語は自分であるが違和感を感じない。空間移動の「ゆく」の意味は感じられず、広辞苑の定義の次の(11)の用法であると私にも思える。

(11)他の動詞に付いて「物事が次第に進行する」「引き続いて進行する」意を表す。


新井蜜
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by trentonrowley | 2017-11-22 22:39 | Comments(0)
2017年 11月 22日

「塔」十一月号 小林幸子選歌欄 十首選

「塔」十一月号 小林幸子選歌欄 十首選

土中より出で来る蟬を待ち受けてカラス食らうと理髪師の言う  松浦わか子

ラクロスの主将で一〇〇人束ねてた子の妻だから大丈夫です  藤田 咲

また一つ鍵をかへしてこの国に浅く下ろした根を抜いてゆく  加茂直樹

アイヴォリーの傘に葉洩れ陽すべらせて女人はあゆむ冷泉通  篠野 京

父母とみづやうかんを分け合ひて窓に広ごる花火を観たり  近藤真啓

青色の鳥の刺繍ができるまであなたは布を何度も返す  川上まなみ

花の咲く向こう岸より戻れると母は語りぬ肺炎癒えて  小澤京子

諍いの身に及ばぬを測りつつ心配顔が遠巻きにいる  みぎて左手

さわぎだす胸をどうにもできなくてアレグロの曲歌いごまかす  山上秋恵

髪を切る うさぎのやうな耳を立て胸の奥処の声聞きたくて  今井早苗


(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-11-22 22:23 | 十首選 | Comments(0)
2017年 11月 21日

ゆく と くる  (その1)

ゆく と くる  (その1)

ゆく
通常、広辞苑の定義の次の(1)の意味で使われる。
(1)現在いる地点から出発して向うの方へ進行・移動する。

短歌で次の(11)の用法で使われることがよくあり、この用法について検討したい。この用法から私の受ける感覚と他の人の使い方にはギャップがあるように思えるので、そのギャップの内容、意味するところを考えてみたい。

(11)他の動詞に付いて「物事が次第に進行する」「引き続いて進行する」意を表す。

例えば次の歌(かばん関西6月歌会)で、
  手を濯ぐ水の音で目覚めゆきたり鞘を収める鈍痛のする/とみいえひろこ
「目覚めゆきたり」は自分のことを詠ったものとすると、奇妙に感じる。誰か自分以外の人の状態を観察して描写したもののように感じるのだ。

  白抜きの模様のやうにたよりなくなりてゆきたり亡き人への怒り/伊東 文
(2017年九月塔奈良歌会)
「なりてゆきたり」は私には、自分の心のうちを詠んだものではなくて、第三者的・客観的な描写のように感じられる。あるいは現在のことではなくて二、三年前のことを回想して描写しているように感じる。

  ポストから戻りゆく時出会いたり月夜の径をゆく青虫に/鈴木 緑
(「塔」2017年11月号)
十首選の中に加えようと思った歌であるが、「戻りゆく」が奇妙に感じられ選ばなかった。奇妙に感じたのは、「ゆく」という動詞の基本的意味、こちらから向こうへ行く、という意味に私の感覚が引きずられているのかも知れない。「戻る」のに「ゆく」というのはおかしいと感じたのだ。「戻り来る時」とでもするべきではないかと考えたのだ。
「物事が次第に進行する」という空間移動の概念から離れた意味で考えるのなら問題のない表現のはずであるが、私にはどうしても奇妙な感じがしてしまう。

新井蜜
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by trentonrowley | 2017-11-21 22:52 | Comments(0)
2017年 11月 21日

「塔」十一月号 永田淳選歌欄 十首選

「塔」十一月号 永田淳選歌欄 十首選

核兵器を記号として見る人たちに亡きひとたちの溜息は熱風  木村珊瑚

死体が一ついいえ死んでは居りませんさびしさの極みに浮いているだけ  岩本文子

黒く太り低く重たく飛びてゐるわが血存分に吸ひたるこの蚊  岩本文子

嫁の留守東西南北開け放ち鎧ぬぎたる婆が昼寝す  江見眞智子

炎天の葬列のなか我が肩に傘差しくれし人を忘れず  相馬好子

淡路島は二人の最初の子とされたそれまでの子は舟に流した  穂積みづほ

居酒屋の戸があくたびになだれ込む夜霧に君の心が見えぬ  三上糸志

真夜中に蝉が一匹鳴いてゐてわたしはあなたの不在を撫でる  石松 佳

教え子を二人孕ませ不倫までするから与謝野鉄幹きらい  田宮智美

しあわせな人生でした朝昼晩ご飯を食べて服着たりして  田宮智美



(新井蜜)
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by trentonrowley | 2017-11-21 20:49 | 十首選 | Comments(0)