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暗黒星雲

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2011年 01月 19日

『葦舟』を読む その15

山寺に崩えゆく墓の縁には虫取りなでしこ浮くがに咲けり (河野裕子)
   *ルビ 崩えゆく=くえゆく、縁=へつり

14番目の歌に続いて故郷のお墓の歌だと思う。

「虫取りなでしこ」はネットで調べると
 www.hana300.com/musito.html
次のような記載があった。
・ヨーロッパ原産。
・ピンク色のきれいな5弁花。
・食虫植物ではないが、
葉っぱが出ている節の下あたりで、
粘着性の分泌物を出すため虫がよくつく。
ここから”虫取り”の名がついた。
消化、吸収はしない。

お墓の縁に虫取りなでしこが咲いているという穏やかな牧歌的な情景だが
「浮くがに」はどういうことだろう?「浮くように」ということだと思うが、
「浮くように咲く」とはどういう状態だろうか。長い茎の先に花がつくので
こういう表現をしたのかも知れない。

「先祖の魂が花の形となって浮いているように見える」という読みはあまりに
深読み過ぎるだろうか?

by trentonrowley | 2011-01-19 14:42 | 葦舟


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