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暗黒星雲

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2011年 10月 20日

朝顔 (塔2011年10月号掲載 風炎集作品)

六月九日梅雨の晴れ間を飛ぶプロペラ機Q300傾ぐ
爆音に浸りてをれば青空と海とのあはひに島影が見ゆ
漕ぎ出せる緑の海の底ひよりきれぎれに聞こえくる子守歌
静かなる海に月影照り映えて独り潮吹くくじらは遠し
梅雨明けの庭にひらきて薄青の予兆のごとき朝顔の花
七月の地軸傾き炎天をさまよふは死んでしまつた私
鳥たちが朝を告げてもあさがほの花が咲いても明けぬこの夜
電線を唸らせ雨戸騒めかせ薄闇のなか怨みを唱ふ
摘む花のむらさきの色つめを染めはつかなる香の蘇り来ぬ
手を合はす妻と我とに義母さんは七日目だからもう行くと言ふ
方法論しづかに我に説く君の早世のわが父に似る額
夕立は雑木林をとよませて別れきにけりいさかひしまま
直せない癖もつきみと気づくのが遅すぎたのだ今となつては
葬列は野分のあとの野辺をゆき白く輝く雲のいただき
遠雷がかすかに響く片ひざを抱えて足の爪切る部屋に
虫の音のなかをゆつくり沈みゆく夕暮れを割きバイクが走る

by trentonrowley | 2011-10-20 22:26 |


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