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暗黒星雲

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2011年 11月 30日

2011年11月

ポロポロと目がくらむほどかんからがまさに時代の芥溜めわきに
朝夕の引き潮の道書いてみた少女は大きくふくれた腹に
意識したわたしの嘘があなたには(まことに意外)実際といふ
右側へ巻きつき燃えるばさばさと朝の恐怖が色あせてゆく
驚いてだれも知らない暗殺者土管を抜けて追ひかけて逢ふ
くぐりとぶ遮断のために抱へられ細い窓枠雨靴はいて
滄浪の巨大な黒い源は喪ふことと思つて居たのに
ひたぶるに馬の姿で露霜の世界の果てをまつすぐ走る
街角で降るなか女がばかにするあらがひがたき輪舞のなかで
道端に卵を置いて先急ぐたしかに俺もおもしろかつた
山吹とあなたのことがアップされ嬉しがらせを耐へられません
霧雨にはふりだされたきみからのかすかな光 湧き上がりくる
飯時を過ぎたあとにもはだか身を指でなぞれば漕ぎ出してゆく
ときめきて空洞におち多摩川の餃子の店に何時まで私は
夏空にえごのき橋の餅の沙汰それを拾はう一人は川へ
降り始めたわむ繋がり銀河とぶ通勤者乗せ出迎へる朝
終末の前線通過す告げられて震える声で雲をぽかんと
うしろから咎める人の押しピンの朝の車中の騒ぎはげしく
青みどろまとまり始め目が覚めて空誓文は橘家より
型崩れ笑ひ合つてるひざまづきとつてかはつて見上げる月の
かざしもにまた張つてゐるシャボン玉氷のやうに立派な人も
階段を来れなかつたねくるしみも一緒に今日の戦ひに負け
本棚の隙間のやうな(薄皮を焼いて下さい)予定を埋める
裏返り敗れ去つても人々は理屈を述べるちり鍋の底
朝寝せよ下にかくれていもうとが秤の上で困つてしまふ
生まれでた告知の葉ずれおお何と笑みをうかべて思ひ出すので
この陽射し御褒賞だと鳥が来て声をかければ先様が嫌
木と花と考へながら選ぶよりかくあるはずのきみと宇宙を
いでやこの村は海からさあああと しかしあなたは遠い眼で見る
雨となり旅立つ朝を流し去る捨ててしまはう泥の太陽
手拍子の僕らの前にさめがたく睨みつけられ転がつてゆく
鳴川の運河の記憶湧き出でて十九の春の夢をまた見る
とりどりの夜明けのかめが息をはき豆も実入りの遠くで煙る
ザリザリと別居するからわびしさのその直ぐ後に深き沼なり
ばらばらのさめていく色打ち寄せる高い運河を帰つてきたら
みじかきをぐつすり眠り忘れては北に行かせた無限の旅に
引力が無邪気な顔で無駄にした寄る辺なげなる憂愁の繭
お見舞ひにこんな宿世で玉だれを半分に切り嘘のありたけ
早追ひに朝のあなたはひとしずく蜜を求めて塔から鳩に
飲み膨れまあいくつだと泡だつて乾いた風に名前は出ない
夕闇に宇宙のかたすみ歩いてく女の心を生きるしかない
息をとめ浮身しながらかたびらの陰を愛してひらきはじめる
幾十の安い貸間をかたみわけ雑木林でころりと横に
空の下ゆるされぬとかその島は想像力もただ春のせい
宮仕へ投げ出すばかりふるさとの永井陽子とハバナの街へ
もてなしにとおせんぼするよき肴秤にかけてつけられるもの
夢野から一人は森へあの時の父の不在は俺が見てゐた
降つてきてよくないけれど妖星の浮いた心でとても会ひたい
信じたくもたれあふことドトールのマッチの裏に穴をみつけた
八月の朝に鞄を捨ててきたあなたの脚で歩いてごらん

by trentonrowley | 2011-11-30 22:35


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