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暗黒星雲

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2014年 01月 31日

2014年1月

半ばまで海を抱へておもむいた今もかうして星が生まれる
加はつた狂人列車不揃ひの文体にした詩を書く者へ
三人で生きられたので落下して明晰の地に別の歴史を
生き生きと内なる闇に子守歌放たれてみろわたしのをんな
しなやかに生きてゐるからうづくまる遠い境に結ばれるのだ
だんごむし誰かが茹でて奥にあるわたしの孤独少なくなつた
ちちははの好みだらうか青空は眩暈の中にならんでゐたい
鳥たちの嫉妬を避けた落ちてくる月のひかりの言葉によつて
作業着が息苦しいと落ちてくる終はればすべて誇りに思ひ
うかつにも洩れでる声は融け合つて青といふゼロばかりになつた
数万の胸のふくらみ艶もあり冥府を通過歩いて五分
この嘘のことばによつて思索するファイルのなかの書くべき文字も
泣きながらぼくのまぶたにある町でシールが貼られ見あはせました
その時季に庇はれてゐたこともなく毒人参が死んでいく腸
鴉そのくろき羽毛に草莽のこころざし秘めわが頭上ゆく
やすやすとめざめることのひがみもて時間がそろり落下してきた
渚から遠く離れて漂へば黄色い風のふるさとの山
落ちてくる光のもとで花びらを追ひかけてゐた生き直さうと
白い馬地底に下る呆然と見つめる老婆そろりと動く
水面を壊れた言葉にぎやかな詩的言語は息苦しいと
山越えの道を歩いて町へゆく冷たい風のなか気持ちいい
春だねえ陽射しがまるで 祝園の駅にまうすぐ電車は着くよ
庭先の落ち葉を掃けばつむじ風が追ひかけてきてまた散らしゆく
赤い実の南天の枝が風に揺れ歌集読むわれを手招いてゐる
ガラス戸をがたがた言はせ大陸の冷たい風がわが庭を吹く
日没の五時四十分 画面には探し続けたをみなの姿
パンを焼く甘い香りが二階まで伝はりて来る氷点下の朝
北斗星まはりながらにくみあげてまた注ぎゐる濃密なるもの
鐘の音が遠く聞こえる歳晩の静寂のなか諍ひ起きぬ
死者たちにしたたり落ちた夜の蕎麦作つて売つて飼つてゐる牛
恥づかしく彼らは言つた義のために神のもとから来たのではない
ぼくは未だ編むことができをんなですわたしのこころ汚れが欲しい
まだとほい別れと思ひこんでゐた花びらの音が聞こえないから
白屋に住みし記憶がよみがへる麦を覆へる雪の残りて
たんぽぽに気づかなかつたくうかんに似ても似つかぬ賽をいただく
(倒れてる)おしやべりな伯母小走りに記憶のなかを虚府に入りしと
累累と乳房のまるみ欲情の季節がくるね停車するまで
発火する世界のなかに追ひこんで生きた事実がすべてだからと
地上絵は似ても似つかぬまぼろしの世界のなかに閉ぢこめられて
おとうとと生きられたのでゆびさきは予告のやうに罅割れてゐた

by trentonrowley | 2014-01-31 23:59


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