2015年 01月 13日
君とわがたゞ身二つのかくれざと隠れ果つべき里もなきかな 樋口一葉「恋歌九首」ちくま日本文学全集 二人称は辞書によれば、〈対話する相手を指示する人称〉である。 別れたばかりの相手に届ける後朝の歌のように、一種の手紙として詠われる歌に「あなた」のような言葉が使われているのなら、それは二人称代名詞と考えることが出来るだろう。しかし、この歌は特定の相手に向けて詠われたものでは無く、短歌作品として一般に発表された歌であるように思える。 また、二人称代名詞としての「きみ」は広辞苑には「男の話し手が同輩以下の相手を指すのに使う語。あなた。おまえ。」とある。最近は、女性が使うケースも多いので、広辞苑の説明は時代遅れのようにも思えるが、少なくとも樋口一葉の時代には、女性が二人称代名詞として「きみ」を使ってはいなかったと思える。 名詞としての「きみ」には君主、主人などいろいろな意味があるが、この樋口一葉の歌の場合は、「わがせのきみ」などと使われる「女から男を、親しみをこめて言う語 (広辞苑)」であろう。
by trentonrowley
| 2015-01-13 22:20
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