暗黒星雲

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2018年 03月 20日

「塔」三月号 前田康子選歌欄 十首選

「塔」三月号 前田康子選歌欄 十首選


ときに夕陽は鋭く射して街上の通り魔の手を閃かせたり  永山凌平


わが家へと誘いのメールの五分後に君は来たりぬ作業着のまま  赤田文女


両親が島よりもどりしばらくを島唄のなかに日々を過ごしぬ  浅野美紗子


雨の降りはじめを電車に見ておればいつかは魚だったわたしも  川上まなみ


うすくふくらんだ手編みのセーターにアネモネは咲き ひと挿しもらう  北虎叡人


煮炊き終え向かう机に西日射し今日のわたしが頬杖をつく  倉谷節子


ひとり降りまたひとり降りバスはゆく赤い金魚のように眠ろう  小林千代


傷口に塩をぬり込む行為だとわからぬ貴女のアドバイス聞く  前原美登里


青春の甘き息にも握らぬ手八十路を過ぎて握りしめをり  山田トシ子


おもいでは揮発されゆくはつふゆのあさへこの身をさらしておれば  田村龍平




(新井蜜)


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by trentonrowley | 2018-03-20 11:40 | 十首選 | Comments(0)
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