2008年 09月 22日
薄暗い廊下の端の手洗いの鏡に映る在りし日の父 取り返しつかぬことのみ浮かびくる深き沼なり家族というは 父さんがその母さんにあげていたお札(さつ)が夢に貼りついていて 美術商森川はドア閉ざしおり雨に鎮もる福井あるけば 聖母像掲げる山車を引く群れが引き寄せられていく火薬庫 姉さんの白いセーター抱きしめて防虫剤の匂いにひたる 打ち寄せて崩れて返す 京都線となりに座る居眠り少女 弟の妻にもらった名刺入れ俺が誰かを忘れぬために 二階から駆け降りくればごめんねと間違い電話のすすり泣く声 なぜかって身体のことに興味あり登録したの怪しいけれど 太陽光写真に写す葉脈に似た妹の毛細血管 てのひらとてのひら合わせみつめれば指紋認証ゾクゾクとして 明かり消し風呂に浸ればりりりりと妻をもとめるこおろぎの声 舌を見よ見つめていると誰でもがたかまってくる嫉妬がわいて 兄に会うあしたのためにコンビニの光の中へナイフを買いに 右端の棚にありますリンゴ剥く用途以外の使用不可です ほんとうのことは書けない要注意でもなんか変むちゃむちゃ元気 また今朝も暗い顔して昨晩の残りのおかず器に詰める ひえていく白い便器に鱗粉が描き足してある ひかり波打つ 死にたえた終着駅の八月の鏡の中に目を光らせて
by trentonrowley
| 2008-09-22 10:14
| 塔
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